院長ヒストリー 第1章

こんにちは。なかむら鍼灸接骨院の院長、中村賢仁です。

私は大阪市西淀川区佃で生まれ育ち、この地域に深い愛着を持っています。

小学生の頃は誰よりも足が速く、外で走り回ることが何よりも大好きでした。

ですので、中学校では他に迷うこともなく陸上部に入部しました。

しかし、中学1年生の夏に突然の膝の痛みに襲われ、それまでの生活が一変しました。

「あれ、中村ってそんなに足遅かったっけ?」

クラスメイトの何気ない一言が、胸に突き刺さりました。

痛みが引いた時に必死で走ろうとしましたが、さらに症状が悪化。

結局、手術を余儀なくされ、大好きだった陸上を諦めざるを得なくなりました。

その後も様々な部活に挑戦しましたが、その度に膝の痛みで挫折。まるで何かに呪われたかのような感覚になり、膝が痛くて動けない時には一人涙を流すこともありました。

動けない日々、私の心の支えになったのは読書でした。

特に星新一さんのショートショート「穴」という作品に、深く共感しました。永遠に底に辿り着かない穴を掘り続ける話。でも、その穴がゴミ処理に活用されると、今度は天から必要なものが降ってくる—。

この物語から、今の苦しみは必ず未来につながっているはずだと、中学生なりに希望を見出そうとしていました。

でも正直なところ、本当は誰かに、神様に助けてほしかったんです。でも「誰か助けて」とは家族にも、友人にも、先生にも言えませんでした。

両親は共働きでいつも遅くに帰ってきては「賢仁、膝はどうや?」と、声をかけてくれました。

クラスの先生や友人たちは寄せ書きまでしてくれて、私を励ましてくれました。

今だからこそ言えることですが、

もうこれ以上心配をかけたくない…と思っていたのです。

そんな時、思わぬきっかけが訪れました。

野球部の友人に誘われ、膝が伸びなくても体の使い方を工夫すれば、守備やバッティングで活躍できることを知ったのです。

この体験が、物事の見方を変えると未知の可能性が広がることを教えてくれました。

高校生になり、もう一度走れないだろうか—。

そんな思いで再び陸上に挑戦しました。

子供の頃に感じた、風と一体化したあの感覚を、もう一度体験したかったのです。

でも、やはりダメでした。本当は、もう無理だということがわかっていたんです。

母が看護師だったこともあり、業界でも有名な先生に診てもらうと、膝に血の塊があることがわかりました。

再び手術を受けることになりましたが、これが転機となりました。

手術は成功し、痛みは和らぎましたが、膝はまだ曲がりません。

朝、階段を降りるのも一苦労。手すりにしがみつくように上り下りする日々。床に座ることも、正座もできない。

そんな状況から、病院のリハビリ先生との壮絶な闘いが始まったのです。

膝を曲げるためのリハビリは、時に悲鳴と涙が出るほど過酷でした。

でも、先生は兄のような存在。

厳しくも温かく、私を支えてくれました。この苦しい日々が、約2年間続いたのです。

「もう嫌だ」病院に行く日は、朝からいつもお腹を下していました。

そして、何度も諦めそうになりました。

でも、諦めなかった。

そして1年後、階段をスムーズに降りられるようになり、2年後には家族と一緒に正座して食事ができるまでに回復したのです。

母が涙ぐみ、兄が驚いた顔は今でも忘れられません。

この経験が、私の人生を大きく変えました。

人を手術以外の方法で改善に導く、治療の仕事に強く惹かれるようになったのです。

高校卒業間際に柔道整復師という資格を知り、私のように体の不調で夢を諦めかけた人を救う仕事に憧れを抱きました。

しかし、養成校の学費を見て愕然としました。

大学を1年で中退し、3つのアルバイトを掛け持ちして学費を貯めました。

朝はスポーツジム、夕方はパチンコ店、夜は工場と、睡眠時間は1日4時間程度。

体重は5kg落ち、口内炎だらけ、肌はガサガサ。でも、将来への希望が私を支えてくれました。

特に、スポーツジムでのアルバイトは私の決意を固めてくれました。

肩の痛みでトレーニングを諦めていた方が、私のアドバイスで再び楽しそうに運動する姿を見た時、柔道整復師になりたいという思いがさらに強くなったことを覚えています。

こうして20歳で柔道整復師の養成校に入学できました。

長年の痛みや不調で悩んでいた方が、笑顔で日常生活を送れるようになる姿を見るたびに、あの頃の苦しい経験が今につながっているのだと実感しています。

「物事の見方を変えると未知の可能性が広がる」子供の頃に得たこの体験を思い出すたびに私を後押ししてくれています。

これから命ある限り技術の研鑽と、知識の習得に励み、痛みで自分の未来を諦めかけている方々をサポートできるように精進してまいります。

なかむら鍼灸接骨院